2009年4月3日金曜日

よいインターフェイスを探して: バスの降車口

今朝、通勤するサラリーマンで混み合うバスに乗っていたところ、あるバス停で、席に座っていた子連れのお母さんが立ち上がり降りようとしました。

そこはバスの先頭側の席で、降りるためには後部の降車口まで移動しなければなりません。混み合う車内ではちょっとした面倒です。

しかしこの親子、席から立ったはいいですが、降り口へ向かおうとしません。降りなければならないのに、うろたえながら、運転席まで戻って、運転手に「降ります」と告げています。

それに対し運転手は「後ろ開いてるでしょ」と親子に返しました。そこで初めて、降車口はバスの後部にあることに気付き、降りて行きました。そう、このバスは特定の停留所を除いて、バスの中部にある降車口は開かないのです。親子はそれを知らなかったため、降り口が開いていないと思い、戸惑っていたのです。

車内は混んでいましたので、この親子の位置からは、後部の降車口は恐らく見えなかったと思います。まして、目の前に降り口があれば、奥にもう一つ降り口があるとは、知らなければ気づけなくても仕方がないと思います。

さて、利用者が困惑するということは、そのインターフェイスが悪いと言えると思います。この場合何がいけないのでしょうか。

2か所ある降車口
そもそも降車口が2箇所あるのに、その開き方が一定でなく、予測不可能なところが考えものですよね。このバスの扉は、一部の停留所と終点でのみ2か所開きますが、全ての停留所で開くと何か問題があるんでしょうかね。開き方を統一すべきです。
どっちが降り口なのかを知らせる手段が1つしかない
2つの降り口が不定な動きをするなら、それを乗客に知らせる必要があります。真ん中の(滅多に開かない)降車口は「このドアは一部の停留所でしか開きません」と書いてあります。が、先の親子のように、混雑しているときに乗っている人は気付けません。シンプルに社内アナウンスして利用者に知らせるべきだと思います。どうせ降車案内なんて録音なのですから。いい例として、JRは左右どちらのドアが開くか、各駅ごとにアナウンスしていますよね。
乗客が困った時の運転手の態度
接客だってユーザインターフェイス(UI)です(ユーザと接するものはすべてUIです。)。迷ったユーザが助けを求めているのですから、シンプルに「後ろ側の扉を開けていますので、そちらから降りてください」と教えてあげればいいのです。今回の例では運転手は「後ろ開いてるでしょ」と迷っているユーザが間違っているかのような扱いをしてしまいました。これは大きな失敗です。接客マニュアルでそうなっているのか知りませんが、ユーザは迷うもの、実体は理解されないものなのですから、ユーザからのと問いに対して正しく導いてあげればそれでいいのです。それができなかったというのは大変残念です。(この際、接客云々は言いません。)

バスの降車口なんて、数回利用すれば覚えてしまうものかもしれません。しかし、ひょっとしたらこの親子は今後使うことがないかもしれません。ずーーっと悪い印象ばかりが残ってしまうことになります。最初に利用する人のことを考えて設計することをちゃんと考えるべきです。

下の絵は昔インターフェイスの授業で習ったものを再現したものです。分かりづらいかもしれませんが、4口ガスコンロです。この絵を見て、どのツマミがどのコンロを操作するか分かりますか?

ちょっとコンロの位置を変えるだけで、ツマミの対応が推測しやすくなります。 いいインターフェイスとはこれぐらいの違いでいいんです。最初からこうなっていればいいんです。慣れればわかるからいい、ではダメなのです

0 件のコメント: